野獣な執事とワンコお嬢様
ヒョウと初めて会った日のことは、あまりよく覚えていない。



それほど幼かったんだ。



毎日遊んだヒョウがいなくなってから、あたしは毎日泣いていた気がする。



父も母もいなくて、唯一いたのがお兄ちゃん。



お兄ちゃんの迷惑も考えず、しばらくベッタリしてたっけ。



あっ、起きてきた…。



「くぁ~…」

「おはようございます、龍蔵(リュウゾウ)様」

「おはよ~…。みそ汁ねぇの?」

「お作りいたしますか?」

「アサリのみそ汁~。味噌濃いめで」

「かしこまりました、シェフに相談してまいります」

「二日酔いキツ~…」



大学生のお兄ちゃん。



ラフな格好で、髪もボサボサ。



テーブルにうつ伏せになって、本当にダルそうだ。



「飲み会ってヤツ?」

「合コン~。女の子に飲まされちゃって。気づけば家で寝てた」

「よかったね、帰ってこれて…」



お兄ちゃんは疑問に思わないんだろうか。



ヒョウが執事なんかやってることに…。


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