野獣な執事とワンコお嬢様
エラく金持ちのうちには、昔から使用人がたくさんいた。



いわゆる財閥ってヤツで。



お兄ちゃんからすれば、普通の感覚なのかな…。



「ヒョウのこと、不思議じゃないの?」

「べつにぃ~。俺だって専属執事いるじゃん。マジで使えねぇけど。朝も起きてこねぇって、どういうこと?」

「お兄ちゃんが気に入って雇ったんでしょ?」

「タマキといると楽しいからなぁ~」



お兄ちゃんは自分で執事を選んだ。



自由人のお兄ちゃんについて行ってる、唯一の執事。



執事というより、ヤクザみたいな人なんだけど。



どちらかと言えば、ボディガードっぽい。



「龍蔵様、お味噌汁ができました」

「わ~い。めっちゃできた執事だね、青柳2号」

「お褒めにあずかり光栄です。お嬢様、そろそろお時間です」



あっ、遅刻しちゃう。



ヒョウがあたしを見送るのは、学校から離れた公園まで。



誰もいないことを確認して、車を飛び出す。



学校ぐらいひとりで行けるのに…。


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