野獣な執事とワンコお嬢様
泣かせて、俺だけしか見れなくなって。



困って、頭の中、俺でいっぱいにしてぇ。



「テスト勉強してんのか?」

「うん、わかんないとこあったから早めに」

「間違ってるし。お前、授業聞いててなんでわかんねぇの?」

「数学は苦手だもん…」



ふぅん…。



俺が教えてやってもいいけど、琴音の慌てる姿もおもしろいからな…。



「僕も今回ちょっと不安だよ」

「桜小路くん!!」

「ジョーでいいよ、有栖川さん」

「こ、琴音と…呼んでください…」

「琴音ちゃん」

「ジョーくん」

「「へへへっ…」」



何照れ合ってんだ、コイツら…。



きっと、今までまともな友達ができなかったからだろうけど。



似たような境遇だから、分かり合えるかもな。



「勉強会しようよ」

「いいねっ!!それ、いいね!!」

「ヒョウもする?」



俺は頭いいから勉強なんてしなくたっていい。



だけど、琴音が男とふたりになるなんて、許してなるものか。



手取り足取り、みっちり教えてさしあげますよ、お嬢様。



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