野獣な執事とワンコお嬢様
中には着物姿のメイドさんがいた。



頭を下げ、案内されたのはジョー君の部屋。



初めて男の人の部屋に入った…。



「わぁ…」

「僕の趣味なんだ」

「ラジコン?」

「そうだよ。最近はヘリばっかり買ってる」



車とヘリコプターがいっぱい。



昔、お兄ちゃんもハマってたことがあったな。



あたしが壊してからやめたみたいだけど。



あまりキョロキョロするのも失礼だと思い、テーブルの前に座った。



「数学でよろしいのですね?」

「あっ、うん」



ヒョウが、あたしの勉強道具を並べる。



ジョーくんは、当たり前のように自分で用意した。



「執事…いないの?」

「いないよ。僕はただの学生だもん」

「普通はそうだよね…」

「仕方ないよ、琴音ちゃんクラスの令嬢は」



そうなのかな…。



でも、ヒョウが来てからは前と生活が全然違う。



朝にあたしを起こすのは、日替わりでメイドさんだった。



名前もわからない人に運ばれる食事。



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