野獣な執事とワンコお嬢様
ひとりでいることには慣れているから、どうだっていいんだけど。



「有栖川ちゃん」

「先輩…」

「今度俺とデートしてよ」

「何度もお断りしたはずですけど、先輩」

「だって…超タイプ~」



この人は、顔がいいからめちゃくちゃモテる先輩。



名前は忘れたけど、あたしを見つける度に絡んでくるので迷惑してる。



「冷たいなぁ~」

「だったら温かいとこに帰ってくださいよ。先輩の取り巻きにものすごい形相で睨まれてるんで」

「有栖川ちゃんがいちばんだけど?」

「そうですか。じゃあ」

「すっごい温度差っ!!まぁいいや、またね~」



先輩を嫌いではないけど…。



あたしはきっと、誰とも関わらない方がいいんだ。



先輩まで悪く言われてしまったら…。



ソレが怖いし。



失うモノがないまま、ひとりでいるのは気楽。



「うわぁ~、朝から有栖川 琴音」

「最悪。なにアレ。『ひとりでも平気です~』って顔」

「平気なんでしょ?友達いなくてやることないから本が友達みたいだし~」



もう、飽きたよ。


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