野獣な執事とワンコお嬢様
べつになれ合わなくたっていい。



あたしはあたしだし、他人は他人。



そんなだから、小さな頃のヒョウとの思い出は大きかったのに…。



10年離れてあんな感じになったわけだ。



「ハァ…」



つまらない…。



毎日が、とてもつまらない…。



彼氏でも作って、充実させようかな…。



でも好きな人なんかいないし。



付き合うとか、よくわかんないし…。



毎日本を読みながら、時間が流れるのを待つだけ。



放課後は決まった時間に、あの公園まで行く。



「お帰りなさいませ、お嬢様」

「ただいま…」

「顔色がすぐれませんが…」

「ん~…」



運転手さんは、昔から変わらない口数の少ない人。



ヒョウがやってきてからは、ヒョウも一緒に迎えに来る。



せめてあの時のままのヒョウだったらよかったのに…。



「本日の夕飯はなににいたしましょう」

「なんでもいい…」

「お嬢様の好きなものにいたしますか」

「なんでもいいってば!!」

「何かありましたか?」

「うるさいっ!!話しかけないでっ!!」

「では、お許しが出るまで黙ってますね」



何で怒らないの?


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