キープアウト!
涙が溢れてくる。
亮二が嫌だと思うことを、あたしは平気でやってしまったんだ。
ただの裏切り。

「オレ樹里のこと縛りつけてるな。会うなとか関わるなとか」

「そんなことない」

必死で首を横に振る。

「こんな男疲れるだろ?」

「疲れないよ」

あたしは亮二に抱きついた。

「いつか疲れる時が来るよ」

そう言って。
亮二があたしの体を離して立ち上がった。

「亮二……?」
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