キープアウト!
良かった。
命に関わることじゃなくて。

名前も知らない人だったけど、あたしは心底安心していた。


そして。
そんなこともあったことも忘れかけていた頃。

彼に遭遇した。

「あの、治ったんですね?」

「うん。盲腸だったんだ。本当にあの時は、ありがとう」

彼は笑顔で言った。

「いいえ。背中をさするぐらいしかできなくって」

「ううん。そんなことないよ」

「なら良かった」
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