キープアウト!
佐伯くんが続けた。

「樹里ちゃん鈍いね」

「鈍い?」

「うん。鈍いよ」

そう言って。
佐伯くんは車をスタートさせた。

帰りの車の中は、ほとんど会話がなかった。

途中、あたしがアパートのある場所を教えてやっと、会話をしたようなもんだった。

アパートの前に車が停まる。

「送ってくれてありがとう。パスタも美味しかった」

「また誘うよ」

「えっ?」
< 34 / 259 >

この作品をシェア

pagetop