キープアウト!
そう言ってハッとした。

「そっかそうだよな。オレ樹里の彼氏でも何でもないよな」

「佐伯、あの…」

「悪かった。帰るよ」

「……」

佐伯がドアに手をかける。

あたしはぶら下げていた袋を放り投げて、佐伯の元へ。

「ごめん!言い過ぎた」

そう言って。
あたしは、佐伯の背中に抱きついていた。

「樹里…?」

「……っ」

涙が溢れていた。
どうして?
自分でもわからない。

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