待ちぼうけの恋煩い【完】
*過去の約束
―――
『大きくなったら、千春は、オレのお嫁さんにしてあげるね?』
『うん!奏ちゃん大好き!』
これは、幼稚園の年少さんくらいの頃だったかな?
私には大好きな人がいました。
名前は、高倉奏也(そうや)。
私の向かいの家に住んでいる幼なじみ。
奏ちゃんは、男子からも女子からも常に人気があり、私にとって、憧れの存在。
そんな奏ちゃんから『お嫁さんにしてあげる』だなんて言われた私は、浮かれに浮かれていたっけ?
いつも、2人で手をつないで帰っていた。
隣を見れば、優しい笑顔の奏ちゃんがいる。
――でも、そんな幸せな日々も長くは続かなかったんだ。