待ちぼうけの恋煩い【完】
驚いて声のする方向を見ると…
『矢島くん…』
そう、未来いわく、私とくっつけさせようとしていたあの矢島くんだ。
『おっ、いいタイミングだぜ、矢島!』
なんて言う未来のツッコミを軽く無視し、私は、いそいそと矢島くんの方へ歩み寄る。
『えっと…何かよう?』
とりあえず、そう言って愛想笑いを浮かべてみる。
『あのさ、明日の休み暇??暇だったら一緒に映画でも行かない??オレ、チケット持ってるんだ』
ほら、と言って矢島くんが私に見せたのは最近人気のある恋愛映画。
『あ、えっと…』
どうしよう…。
そう思いながらも口を開こうとした時、
『悪いんやけど…千春ちゃん、明日はオレと約束してんねん、な、千春ちゃん、』
そう言って、私の肩を握ったのはニコリと笑みを浮かべた奏ちゃんだった。