家元の寵愛≪壱≫


いくら父親が買ってくれるとは言え、

私の今の家族は夫である隼斗さんだもの。

彼に一番最初に相談すべきだったんだ。


私ったら……妻失格だな。



「ゆの、そろそろ寝るか」

「………はい」



照明を薄明かりにして、ベッドへ。


急に静まり返る寝室に

エアコンの音と寝具の衣擦れの音が。


私はゆっくり身体の向きを変えて



「ん?……どうした?」



私は隼斗さんに抱きついた。



「ごめんなさい」

「何がだ?」

「車の件」

「……いいよ、もう」

「だけど…」

「いいって。お義父さんだって娘の為に買って遣りたいだろうし」

「ホント、ごめんさない」

「もういいから……な?」

「………はい」



隼斗さんは抱きつく私を、

優しく抱きしめ返してくれた。


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