家元の寵愛≪壱≫
八 公然の夫婦


今日から後期の授業が始まるゆの。


朝食を終え、離れで身支度をしている。


すると―――――、



「隼斗さん、今日から私1人で行けますからもう少しゆっくりしてて下さいね」


可愛らしい笑顔を向けて来る。


「なぁ、ゆの」

「はい?」

「今日は何の授業を受けるんだ?」

「今日ですか?…えっと…日本文化研究っていう授業で伝統文化芸能の演習と哲学と英文法ですけど」

「へぇ~。じゃあ、今日は4時限なんだ」

「はい。帰りは4時30分頃になると思います」

「ん」

「キャッ!!もう、こんな時間。隼斗さん、私そろそろ行きますね?」

「ん、気をつけて。若い男性講師に見惚れんなよ?」

「み、見惚れたりしませんよ」

「フフッ…どうだか…」

「私には…は、隼斗さんだけですから////」

「フッ、当たり前だ」

「ッん////////」



俺は照れて、俯いたゆのの顎を持ち上げ

軽く啄むように……唇を重ねた。


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