家元の寵愛≪壱≫
「もうッ!!////グロスが取れちゃったじゃないですか////」
「ん、イチゴの味が旨いな」
「んッもう////」
プクッと脹れるゆのの頭を撫でて
「ほら、遅刻するぞ?」
「隼斗さんのせいじゃないですか」
「悪い、悪い」
ゆのは鞄を持って…
「では、行って来ます」
天使のような笑顔を残して、出掛けて行った。
さて、俺も用意をするとしますか…。
和服に着替えて、母屋へ。
居間にいる親父に…
「親父、行って来る。じゃあ、宜しくお願いします」
「あぁ、稽古は心配要らないが、ゆのちゃんは?」
「ん、もう出かけた」
「話さなくて良かったのか?」
「ん、どんな顔するか……楽しみ」
「この間みたいに喧嘩だけは勘弁だからな?」
「あぁ、解ってるって」
「なら、いいが…」
「じゃあ、行って来る」
「あぁ、気をつけてな」