家元の寵愛≪壱≫
私の専攻は外国語学部。
とりあえず就職に有利だろうと安易に考えていた。
入学して1週間。
先週はオリエンテーションで、
今週はカリキュラムを決定。
来週からいよいよ授業開始。
「ゆの、履修表書いた?」
「まだ」
「あとで照らし合わせよ?」
「うん」
玲と共に校内へ。
授業を終え、正門へと向かう。
授業と言っても本格的な授業では無い。
教授や講師の挨拶を兼ねた話を聞くというもの。
正門付近に相変わらずの人だかり。
この光景を見ると卒業式を思い出す。
そして………私が……
………隼斗さんに……プロポーズされた日。
そんな事を思い出しながら、
「あの…すみません……すみません……」
人波を掻き分け隼斗さんの元へ。
ざわざわとより一層、周りが騒ぎ出す。