家元の寵愛≪壱≫
私と玲と写真部の人。
それに周りに大勢のお客さん。
騒然としている会場の入り口に、
「あっ、いたいた!!藤堂さん、もう時間ギリギリなんでそろそろいいですか?」
「はい?!」
何故か『運営部』の腕章を付けた人に腕を掴まれ
ステージ方面へと歩かされる。
「ちょっと、ゆの~」
背後から玲の呼ぶ声が
会場の雑踏の中、消えて行く…。
「あの、私、辞退したいんですけど…」
「それは無理ですよ~何せ、1番人気ですから~」
「そこを何とか…お願いします…」
「大丈夫ですよ。別に変な事するワケじゃないし」
「えっ……でも……」
抵抗も虚しく、
結局ステージ裏へと連行され、
すでに他の候補者の人が数人待機していた。
凄い……美人さんばかり。
私なんていなくても大丈夫じゃない。
私はパッと腕を離され、
その隙に逃げようとした
その瞬間―――――