家元の寵愛≪壱≫
【制限時間10分】
そもそも何のゲームなの?
それさえも私、聞き逃してる。
呆然と立ち尽くしていると、
『藤堂さん?どうしました~?急いで探さないと、素敵な男性を他の候補者に取られてしまいますよ~?』
スタッフの声が会場内に響き渡る。
そんな事はどうだっていいんだってば!!
私はこの隙にドサクサに紛れて、
逃げれるんじゃないかと考え始めた。
そうよ!!
具合が急に悪くなったフリをして
この場から逃げれるんじゃない?!
私は意を決して、
ステージから下りようとした…
その時―――――!!
視界の隅に見慣れた人の姿を発見した。
えっ?!!……どうして??
ステージから階段を1段下りようと
片脚を伸ばし掛けた時だった。
ステージ上にいるスタッフがマイクで…