家元の寵愛≪壱≫
「ゆの」
「はい?」
隼斗さんは私の手から服を取り、
自らその服を被り、頭を出して…
そして、私の頭からその服覆い被せた。
えっ?!
……何??
ゲームって……もしかして…。
「ゆの、手」
服の中で両腕を引かれて、
真っ暗の中、
穴らしき所から両腕だけが外へ。
えっ?!!
これって……!?
『では、宜しいですか?それでは、各ペアで息を合わせて…2人羽織りでお蕎麦早食い競争です!!会場の皆様、温かいご声援を…』
やっぱり、2人羽織なんだ!!
ちょっと、大丈夫なの??
やった事1度も無いけど…。
『それでは……ヨーイ……ピーッ!!』
会場内に響き渡る笛の音。
一斉に湧き上がる喚声と
異様なほどの熱気に包まれ…
私は隼斗さんの背中にピタリと寄り添った。