家元の寵愛≪壱≫
「だから、煽るな」
「煽ってなんか…////」
「煽ってる!!」
「煽ってなんかッん////」
反論する言葉さえも塞がれる。
眼差しは獰猛な獣のように鋭いのに
彼の口づけはとても優しい。
そして、
私に触れる指先も
壊れ物を扱うみたいに
すごく凄く優しくて……。
ほんの少し離れただけでも
淋しいと思ってしまう…私。
もう、彼なしではいられない。
いつでも、どこでも触れていたくて。
私だけを見て欲しいと思ってしまう。
いつだったか……玲が言ってた言葉。
『エスカレートして行く気持ち』
『好きになればなるほど欲張りになる』
今になって漸く、玲の言葉が理解出来た。
人を好きになって
どんどん好きになって
いつしか、愛する気持ちって
心の底から湧いて来るもんなんだと。
身も心も彼に吸い込まれ
そして、少しずつ
彼の唯一の『女性』に成長して…。