家元の寵愛≪壱≫


不意打ちに唇を奪われた。


もう!!

この人相手に私は、

まな板の上の鯉に過ぎないんだ。


「ゆの」

「……はい」


嫌々返事をすると、


「キスして?」

「えっ?」


サラッと口にする彼。

私はパニック状態だっていうのに。


「キ・ス・し・て…?」

「////////」


隼斗さんは私を煽るようにゆっくりと瞳を閉じた。


そんな事言われても出来ないよ。

ほっぺにチュッとするのだって

相当緊張しながら、

最大限の勇気を振り絞ってるっていうのに。


「で、出来ません」

「何で?」

「なっ、何でって……そんな恥ずかしい事…」

「へぇ~ゆのは恥ずかしい事を今まで俺にやらせてたんだ」

「なっ!!」


目を見開いて彼を見下ろすと、


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