家元の寵愛≪壱≫
私も正装に着替え、離れを後にした。
母屋の玄関前で、
お義母様が何やら慌ただしく
お手伝いさんに声を掛けている。
「どうかされましたか?」
「あっ、ゆのちゃん!!いい所に来たわ」
「はい?」
「この風呂敷、持って貰っていいかしら?」
「あっ、はい」
お義母様から藤色の風呂敷包みを受取った。
数人のお手伝いさん達もそれぞれ手にして…。
「さぁ、時間が無いわ。急いで車に!!」
「「はい」」
お義母様の後を追って、
門前に横付けされたお義母様の車に乗せた。
そして、お義母様の運転で柳幻荘へと。
「お義母様」
「ん?」
「あの風呂敷包みは何ですか?」
「あっ、あれ?」
「はい」
結構ずっしりと重くて、壊れ物かと思った。
お手伝いさん達も慎重に運んでたし。
一体、何なのかしら?
不思議に思っていると、