家元の寵愛≪壱≫
「はい。では、そうさせて貰います」
私はお義母様の手を握り返していた。
これも、親孝行になるのよね?
そんな事を思い浮かべていたら、
自然と笑みが零れていた。
出逢ってまだ1年ちょっとだというのに
私の中で藤堂家の人々が
既に大きな存在となっていた。
柳幻荘に到着すると、
お弟子さん数人が車の横に。
お義母様と共に車を降りると、
「「明けましておめでとうございます」」
見事なまでに美しく揃った挨拶を。
車のトランクから風呂敷包みを運び出して貰い、
私はお義母様と共に建物内へと。
そこは、すでに戦場と化しているかのように
ピリピリとした緊張感が張り詰めていた。
すれ違うお弟子さん達が頭を下げる中、
お義母様の姿を必死に追いかけ、とある部屋へと。
………ここは??