家元の寵愛≪壱≫
控え室のような小さな和室に
先に運び込まれた風呂敷包みが置いてあるだけ。
キョトンとしている私に、
「ゆのちゃん?」
「へ?あっ、はい!!」
私は慌ててお義母様の隣りに腰を下ろした。
すると、ゆっくり解かれる風呂敷の中から
段ボールが姿を現した。
お義母様の手元を覗く形で近寄ると
箱の中から包装された小さな包みが幾つも…。
「これは?」
「フフッ、これ?うちでは昔から、家元の手作り陶芸品と決まってるの」
「えッ?!」
「毎年違うモノを用意するのだけれど、その全て、焼き物なのよ」
「焼き物ですか?」
「えぇ」
「……いつの間に」
毎日一緒に生活していて、
そんな様子を見かけた事なんてないのに。
「ウフフッ、そうよね?気になるわよね?」
「はい!!」
私は真顔で答えた。
すると、