家元の寵愛≪壱≫
「おっ、親父ッ!!」
「別に照れんでもいいだろ。夫婦なんだし。それに2人ともまだ若いんだ。色々あるだろ?」
「………」
まぁ……そりゃあ……
戸籍上は一応、夫婦になったけど…。
俺は噴き出したお茶をタオルで拭き取っていると、
「ゆのさんに断れてるのか?」
「おっ、親父ッ!!いい加減にしろって!!」
俺はキレ気味で言い返すと…
「隼斗、これは大事なことだ。お前達に跡取りが出来なければ…」
「それは……分かってるけど…」
親父の言いたい事は分かる。
だけど、夫婦の事にまで口は出して貰いたくない。
しかも……夜の事だし……。
俺が呆れながら片付けていると
「父さんに出来る事があるなら、何でも言いなさい」
「それって、どういう意味?」
「母さんはゆのさんが偉く気に入ってるから、強引に同居したいって言ったが。さすがに新婚のお前らを……な?だから、私が離れに…と言ったんだ」
「そうだったんだぁ…」