家元の寵愛≪壱≫


艶気を帯びた熱い視線を送られ、逸らす事も出来ずに。

すると、ハラリと腕が解かれ

隼斗さんの身体から離れる形に。

目の前にいるというのに、

ほんの少し切なさを感じた。


私、どんどん欲張りな女になって行く。

いつからだろう?

こんなにも、触れていて欲しいと思うようになったのは。


「ゆの」

「はい」

「そんな顔すんな」

「えっ?」

「キスだけじゃ、モノ足りないか?」

「ッ?!////そ、そんなんじゃ////」

「フッ、家に帰ったら続きしような?」

「ッ!!////////」


もう!! 何て事を……。

頭の中でカーニバルが始まっちゃったじゃないですか。


両手で火照った顔を扇いでいると、


「ゆの」

「はい……えっ?!」

「ん」

「『ん』って、何ですか?!////」

「ここに頼む」

「頼むって、何を?」

「チュ〜ッてやつを」

「はっ?!////」

「ん」

「むむむむむ、む、無理です!!」

「ん」

「出来ませんよ」

「ん」

「………」



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