家元の寵愛≪壱≫
「ゆのにはお手上げだよ、まったく…」
「ッ////////」
「今夜も楽しみにしてるよ……ゆの姫?」
「なッ?!////////」
自分でしておきながら後悔する。
でも、やっぱり……
彼の心に寄り添いたい。
そう思ってしまうのは普通だよね?
だって、『妻』なんだもん。
隼斗さんは私の唇にそっと指先を這わせて
「化粧が取れちゃったな」
「へ?」
「フッ、まぁ、してなくても充分映えるからいいか」
「////////」
毎度毎度、彼のキザな言葉を真に受けてしまう。
そんな彼をじっと見つめると、
「これが最後だからな?」
「ふぇっッん//////」
彼の影が降って来たかと思えば、
彼の唇がそっと重なった。
結婚し、妻となり
初めて迎えた初釜は……。
凛然とした隼斗さんと共に
私もまた家元夫人としての道を切り拓いた。
お茶と蝋梅と愛の香りに包まれて……。