家元の寵愛≪壱≫
十四 愛の秘密兵器
1月も残す所、あと僅か。
毎朝、凍るような寒さの中、
自己研鑽する為、茶を点てる日々。
習慣とは恐ろしいもので、
地方稽古で赴いた先でも時間になれば、
自然と目が覚め、身体が動き出す。
骨の髄まで『茶道家』らしい。
約1週間の地方稽古を終え、愛妻が待つ自宅へ。
ん?
何故か、離れの玄関に鍵が掛かっている。
もしかして、母屋にいるのか?
帰宅早々1番に、
ゆのをこの腕で抱きしめたかったのに。
仕事の疲れを癒す最大限のご褒美はどこに?
俺はその足で母屋へと向かった。
ん? おかしいぞ??
母屋の玄関に、ゆのの靴が見当たらない。
もしかして、母さんと外出でもしてるのか?
仕方なく、親父に帰宅の挨拶をしようと
廊下を歩み進めると、