家元の寵愛≪壱≫
あっ!!
もしかして、『圭介さん』とは
俺の良く知るあの圭介さんか?
徐にポケットから携帯を取り出した。
圭介……圭介……圭介………。
あった!!
『山吹 圭介』
2つの携帯のディスプレイを並べて
鍵となる、番号を照らし合わせた。
―――――――やっぱり!!
2つの番号はピタリと一致した。
でも、何故、圭介さんがゆのに?
ますます混乱する頭で呆然と立ち尽くした。
ゆのは圭介さんに何の用があるんだ?
親友の兄貴とは言え、
彼女の口から彼の名を聞いた事が無い。
2人は一体、どんな関係なんだ?
胸の奥のモヤモヤは
ドス黒いものへと変化して行く。
無意識に指先が辿るその先に
更なる不安材料を発見した。
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お気に入りのシャンプーがあるなら
それを持って来ればいいよ。
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