家元の寵愛≪壱≫
視線を逸らしただけでは顔の火照りは隠せない。
俺は気を紛らわす為に…
「ゴッホンッ……」
ワザとらしく咳払いを…。
はぁ~~あぁ~~、
何で俺はこんな事を親父に話さなきゃなんねぇんだ?
俺は正座していた足を崩して胡坐を掻いた。
すると―――――、
「夜の時間がもう少し欲しいなら、もっともっと精神を研ぎ澄まして、己を律し…更なる極みを志なさい」
親父は落ち着いた声で諭した。
「それって、もっと修練しろってこと?」
「そうだ。こうやって毎晩、反省をしなくても済むくらいのな?」
「えっ?じゃあ、修練さえ頑張ればコレ、無くしてくれるの?」
「無くすとは言ってない。する必要がないのなら。敢えてする事も無かろう」
「!!!??」
何だ、そういう事か!!
だったら、俺自身がもっともっと修練すれば済む事。