家元の寵愛≪壱≫
どうしたものか……。
そんな弟子達に、
「隼斗は君達が出来ると思うから言うんだよ。出来ないと思っていたら言えないだろ?」
すかさずフォローを入れる親父に助けられながら…
気付けば10日も経っていた。
1日の仕事を終え、片づけをしながら…
「隼斗、今日はこれから伊豆の別荘に行くといい」
「はっ!?」
「母さんが2人の荷物を用意したそうだ」
「………」
「もうじき、母さんがゆのさんを連れてここに来るから」
「えぇっ!?……それって……!?」
「あぁ、父さんと母さんからのご褒美だ」
親父は窓の戸閉をしながら口にした。
「けど、明日の仕事は?会館で教室が…」
「父さんと母さんでする。日曜の晩までゆっくりして来なさい」
今日は金曜日。
土日は会館で茶道教室がある。
ってことは……2泊3日!?
俺は小さくガッツポーズを決めると、
「ただし!!」
親父が急に声を張り上げた。