家元の寵愛≪壱≫
俺は緊張しながら親父を見ると、
「来週の茶会は家元になっての初の茶会だ。絶対、粗相は許されないし、うちの看板がかかっているいる。……分かるな?」
「あぁ……重々承知してる」
「ならいい。羽目を外し過ぎず、節度のある行動を頼むぞ?」
「はい」
俺が返事をすると、
柔らかい表情で生けられた生花を片付け始めた。
そして……
「ご隠居、奥方様がお見えです」
襖の向こうから弟子の声が…
「分かった、直ぐ参る」
「はい」
「ほら、隼斗……気を付けて行って来い」
親父に背中をポンと叩かれ…
「はい!!」
俺は……
俺の愛姫が待つ玄関へと
着物の襟を緩めながら……