家元の寵愛≪壱≫
「はい、じゃあコレ着て寝室の方にね?」
「……はぁ」
お義母様はニコッと微笑んで寝室へと。
呆然としながら何とかワンピースを身に纏い寝室へ行くと、
「はぁ~~い!!じゃあココに座ってぇ~?」
言われるままに鏡台前に座らされた。
お義母様は手際よく髪を乾かし、ふんわりと結い上げた。
普段はほとんど手入れをしない肌に
何やら念入りに施しを…。
あっという間に大人の女性へと変身を遂げた。
「うん、綺麗よ!!きっと隼斗も惚れ直すわね?」
にこやかに微笑むお義母様を余所に私は胸が高鳴った。
自分が自分じゃないみたい。
自分でもびっくりするほど色っぽい。
鏡に映る自分の姿にドキッとする。
「さあ、行きましょう!!」
お義母様の車で到着した先は柳幻荘。
「ゆのちゃん、ちょっと待っててね?」
「はい」
お義母様は建物の中へと。
待つ事数分。
戻って来たお義母様は、隼斗さんの車のエンジンを掛けた。
そして、何やらトランクに荷物を積み込んで…。