家元の寵愛≪壱≫



一瞬、暗くなったかと思えば


彼の顔が目の前に。



そして、


彼の唇がおでこに……


瞼に……鼻に……頬に……


そして、唇に優しく触れた。




触れる彼の唇


凄く柔らかくて離れ難い。





壊れ物を扱うみたいに


繊細に触れる彼の指先。




抱きしめられる心地良さ。





触れる彼の肌の温かさに


身体の力が抜けて行く。













少しずつ薄れる意識の中で


私は初めて彼の愛を受け止めた。



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