家元の寵愛≪壱≫
目が覚めると、裸同然の格好で愛しい人の腕の中。
ほんの少し動くだけで身体が重く軋むけど、
けれどこれは私が妻になった証。
思わず顔が綻んだ。
あんなに怖かったのに…
隼斗さんの腕に抱かれると
その怖さもいつの間にか消え失せていた。
私は寝ている隼斗さんに抱きついた。
普段じゃ考えられない行動。
しかも、こんな裸同然で。
大好き……大好き……隼斗さん。
まだ薄暗い部屋の中、
私達の周りだけ光に照らされているみたい。
幸せすぎて怖い。
大好きな人に触れられる倖せ。
大好きな人に抱きしめられる倖せ。
大好きな人が自分だけを見つめてくれる倖せ。
大好きな人と同じ時間を一緒に過ごせる倖せ。
倖せがこんなにも沢山あり過ぎて幸せ。
私は頬を緩ませながら
彼の体温の心地良さに溺れていた。
すると―――――、