家元の寵愛≪壱≫
何の反応も無く、
眠り続ける隼斗さんの肩を
再び揺らそうと手を差し伸べた瞬間――――!!
「キャッ!!」
私の手を掴んで手繰り寄せた。
肌触りの良い羽毛布団にポスッと埋もれるように。
体勢を崩した私の身体をいとも簡単に包み込む腕。
少し息苦しいくらいに抱きしめられる。
「んッ!!はっ、隼斗さん!!ちょ、ちょっと~」
「あと少し……」
「だ……ダメですってば…」
「もうちょっと」
甘美な声で耳元で囁かれ、
“じゃあ、あと少しだけ”とついつい許してしまう私。
隼斗さんの腕の中にいると何故か落ち着く。
思わず目を瞑って全身で酔いしれていると
「ゆの、起こしに来たんじゃないのか?」
「え?」
「ゆのが寝てどうする」
「んッ!?もう!!隼斗さんのイジワル」
隼斗さんはちょっぴり不敵に微笑んで、
何故か……深呼吸をした。
と、次の瞬間!!