家元の寵愛≪壱≫
♪ ~ ♪ ~ ♪ ~
午後の授業開始を告げるチャイムが鳴り響いた。
「ヤバッ!!私もう行かなくちゃ!!じゃあ、ゆの頑張んな?!」
「……うん」
「またメールする!!」
「は~い」
玲は慌てて学食を後にした。
玲は午後一の3時限目の授業がある。
私は休講になり、この時間学食でのんびりと。
はぁ~どうしよう……。
隼斗さんとお義父様、お義母様に何て言おう。
大切な家族に嘘はつきたくない。
けど……。
考えただけで胃がキリキリしてくるよ…。
その後、4時限目の英文法1Aを受け、
4時過ぎに正門前へ迎えに来てくれた
隼斗さんの車に乗り込んだ。
自宅へ着くと、いつものように…
「ゆの、じゃあ、行って来るな?」
「はい」
―――――チュッ。
藤堂家の門前で停車した車内で。
降り際に触れるだけのキスを…。
そして……。
隼斗さんは再び、稽古場・柳幻荘へと。