家元の寵愛≪壱≫
入浴も済ませ、寝室で……。
私はベッドサイドに腰掛け、
隼斗さんがお風呂から上がって来るのを待って。
はぁ~緊張するなぁ……。
物凄い勢いで心臓が脈を打つ。
私は自分の心を落ち着かせようと、
両手をギュッと握りしめると、
――――――――スッ……。
寝室の襖が開いた。
半袖のTシャツ姿の隼斗さん。
髪がまだ半乾きでタオルで拭きながら、
片手に缶ビールを手にして入って来た。
「ん?ゆの、どうした?」
「えっ…あっ……えっと…」
私がじっと見つめるから不思議に思ったみたいで、
隼斗さんは私の隣りに腰を下ろして
髪を拭きながら覗き込んで来た。
「髪……乾かしましょうか?」
「ん?……んー…」
私の鏡台前に座った隼斗さん。
私は彼の後ろに膝立の状態で、
ドライヤーのスイッチを入れた。