家元の寵愛≪壱≫
「ゆの、別れ際に誘うのはやめろ」
「さっ、誘ってなんかッん////////」
言い訳の言葉も彼の唇で塞がれた。
朝の人気の多い駅前だというのに…。
そして……。
―――――チュ~ッ…チュッ。
首筋に紅い薔薇を咲かせ、
妖艶な笑みで私を見下ろし…
「浮気したらタダじゃおかねぇからな?!」
「なっ?!/////す、するワケないじゃないですか!?」
「フッ、ゆのがその気じゃなくても、男は寄って来るから気を付けろよ?」
「………はい////」
隼斗さんは優しく髪を撫でて、
愛おしそうに笑顔を向けてくれている。
「よし、行って来い」
「はい」
私は2週間分の大荷物を持って、
隼斗さんの車を後にした。
改札口を抜けて、
玲と待ち合わせのホームで待っていると
「ゆの~~!!おはよ~~!!」
「玲、おはよ~」
大荷物を抱えた私たちは、
架空の『セミナー合宿』へと……。