家元の寵愛≪壱≫
いた!!――――――――――が、
隣りの男は誰だ?!
何やら仲が良さそうに話をしている。
しかも、何でアイツはゆのの鞄を持ってんだ?!
誰だ?!
何を話してる?!
何でソイツと仲良く話してんだ?!
何故、ゆのはそんなにも満面の笑顔なんだ?!
――――ギュッギュッ……ギッギッ…。
革製のステアリングを無意識に握りしめ
瞬きも忘れて2人を見据える。
すると―――――、
男がゆののポシェットを指差し、話し掛けた。
ゆのはそれに応えるようにポシェットを優しく撫でて、
何故か……男に向け、恍惚の表情を。
ッ!!
何でソイツにそんな顔を見せてんだよ!!
俺は奥歯を噛みしめ、顔を歪ませると、
男がゆのの頭を優しく撫で始めた。
んッ?!!!
―――――ダメだ、限界だ!!