家元の寵愛≪壱≫
ますます色濃くなる不信感に
もはや平常心を装うのは無理のようだ。
自宅へ着いた俺らは、
車から荷物を下ろして、離れへ。
部屋に入り、襖を閉めたゆのを…
「キャッ!!」
俺は後ろからきつくきつく抱きしめた。
「……隼斗さん?」
「………」
俺は心の狭い男だ。
自分は今まで散々女遊びをして来た。
高校、大学…
好き放題遊んで来た筈なのに。
まだ18歳のゆのには、
自由に遊ばせてやる事さえ出来ない。
俺以外の男に笑顔を振りまいて欲しくないし
ましてや、俺のいない所で親しくして欲しくない。
―――――そう、身勝手にも思ってしまう。
執着? 束縛? 独占欲?
ありとあらゆる感情で繋ぎ止めたい。
俺だけを見て欲しくて…。