家元の寵愛≪壱≫
「えぇーっとですね」
「ん」
「その……車はもう…頼んであります」
「はっ?!いつ!?誰に?!どうして?!」
「あっ…えぇっと…」
あっ、そうっだった……あの事も…。
私が焦り始めると、それを察知して…
「もしかして、俺に隠し事か?」
「えっ、あっ、いえ…ちがっ…あぁ~…そうなるのかなぁ…」
「ん?この前ので懲りたんじゃねぇのか?」
隼斗さんが眉間にシワを寄せ
物凄い形相で睨んで来る。
「いえ、隠していた訳ではなくて、言い忘れてただけで…」
「………」
「ホントです。ちゃんと話しますから…」
「……んー」
ベッドの上で胡坐を掻いてる彼は
険しい表情で腕を組んで私を見据えた。
はぁ~仕方ない。
忘れてた自分が悪いんだから…。
観念して全てを話さないと。
もう、あんな想いは2度としたくないから。