家元の寵愛≪壱≫
「あのですね」
「ん」
「免許を取るにあたり…」
「んー」
「お父さんとさゆりさんの家の近くの教習所に取りに行ってて…」
「はっ?!…初耳だぞ?」
「はい……だから言い忘れてたと…」
「はぁ~何でそんな大事な事を…」
「ごめんなさい。免許を取るまでは秘密にしておきたくて…」
「………」
「お父さんの所で世話になるって話したら、絶対送り迎えをしそうだし、ヒマを見つけて様子を見に来そうでしたし…」
「あぁぁ?!」
ヤバい!!
今の一言で完全に怒らせたかも…。
顏がヒクヒクしてる……どうしよう。
「で、車は?」
「あっ、はい。お父さんが合格祝いに買ってくれる事に…」
「ッ!!……もう、頼んだのか?」
「はい………ごめんなさい」
申し訳なさ過ぎて、彼を直視出来ない。
目を瞑って黙っていると、
「はぁぁぁ~~俺が買ってやりたかったのに…」
「………すみません」
隼斗さんは深いため息を
………何度も何度も零した。