家元の寵愛≪壱≫


「隼斗さん」

「ん?」

「あの…」

「ゆのは車の燃費や小回りが利く大きさだとか、可愛らしいデザインだとか、そういうので選んだんだろ?」

「え?……あっ、はい」

「………だよな~」

「ん?」



何が言いたいのかしら?



「ゆのが倹約家なのを忘れてた」

「え?」

「俺的には斬新なデザインだとか、プレミアムモデルの車種だとか…」

「……?」

「あぁ~~何でもない。気にするな」



隼斗さんは上体を起こし、

見ていたカタログをゴミ箱に捨てた。



「……あっ?!」



そうか……さっきのカタログは外国車だった。

車好きの彼だから、燃費とかじゃなくて

デザイン重視に私を乗せたい車を選んでたんだ。


そっかぁ……そうだよね。

一緒に選ぶって事も出来たハズだよね。


< 99 / 450 >

この作品をシェア

pagetop