家元の寵愛≪壱≫
「隼斗さん」
「ん?」
「あの…」
「ゆのは車の燃費や小回りが利く大きさだとか、可愛らしいデザインだとか、そういうので選んだんだろ?」
「え?……あっ、はい」
「………だよな~」
「ん?」
何が言いたいのかしら?
「ゆのが倹約家なのを忘れてた」
「え?」
「俺的には斬新なデザインだとか、プレミアムモデルの車種だとか…」
「……?」
「あぁ~~何でもない。気にするな」
隼斗さんは上体を起こし、
見ていたカタログをゴミ箱に捨てた。
「……あっ?!」
そうか……さっきのカタログは外国車だった。
車好きの彼だから、燃費とかじゃなくて
デザイン重視に私を乗せたい車を選んでたんだ。
そっかぁ……そうだよね。
一緒に選ぶって事も出来たハズだよね。