運命の果ての恋〜歴史は変わらない〜
坂本龍馬といえば、幕末の尊皇攘夷運動の志士で、海援隊隊長、薩長同盟を結ばせ、大政奉還につくし、大政奉還が行われた一ヶ月後の自らの誕生日に、近江屋事件で暗殺された明治維新に大きく影響を与えた男。


そんな昔の人物が、何故美夜の目の前にいるのか。


「はぁ??…アンタ、頭…」


おかしいんじゃない、と言おうとしたが、どうやら龍馬の来ている服は着物。


この部屋も古い木造の旅館。


龍馬の腰には、鞘に納められた刀が。


どれも、美夜の居た時代には、とてもじゃないがありえない景色ばかり。


半ば龍馬という男が龍馬だという事に納得しかけていると、襖が音をたて開く。


「龍馬、起きたがか??」


龍馬とは正反対な、無愛想な男が入ってきて、龍馬の隣にどかりと座り込む。


この男も着物で、刀を帯刀している。


「おぅ、重太郎!!何じゃあ、おまんも気になって来ゆうね!!」


隣に座った重太郎に龍馬は腕を回し背中をばしばし叩く。


そんな龍馬に重太郎はまた無愛想に言う。


「ほたえな。朝から騒々しいがじゃ」


「…誰??」


美夜は仲良くなさそうで仲が良さそうな二人に、冷たく言い放つ。


すると重太郎が口を開く。


「…おまんちっさなおなごやのに胆ば座っとるのぅ。」


美夜は、自分を見た目で判断された事に腹がたった。


美夜は156cmしかなく小柄で胸も無いから、高校生にはあまり見られない。


「はぁッ!?私を見た目で決めんじゃ…ッ!!」


つい頭に血が上りガバッと起き上がるが、遅れて激痛が響く。


私は座ったまま、痛みに顔を歪ませる。
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