運命の果ての恋〜歴史は変わらない〜



朝、目が覚める。


いつものように。

起き上がった後も、しばらくぼぅっとしていると。


急に、吐き気が美夜を一気に飲み込むようにして襲った。

慌てて口を手で押さえるが。


「ゔぅッ…ッ!!」

自然と姿勢は前屈みになってしまう。

嗚咽からの涙で視界がぼやける。


まだおっきくないお腹では実感があまり湧かなかったが、つわりが来ると本当だ、と複雑な気持ちになった。

まだ、つわり程度でこのしんどさなら。


この世の痛みではないという、美夜にとっては想像もつかない出産の痛みに堪えられるのか。

そう考えただけで不安になった。


愛しい人と授かった赤ちゃん。

これからの希望や期待。

それと同時に。

未知の先の不安や恐怖。


一体どういうモノだろうか。

心もまだ大人になりきっていない。


本当に自分が。

つわりがなんとか止んだ後も、不安に押し潰されそうで怖くなって座ったままうずくまる。


手と足の奮えが、止まらない。




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