運命の果ての恋〜歴史は変わらない〜
すると、後ろから誰かに抱きしめられる。
誰か、と言っても一人しか美夜を抱きしめられる人は居ないのだが。
「大丈夫かえ??」
そう、優しく小さな声で囁く。
変に心配をかけさせたくないから。
美夜はすぐさま笑顔を貼付けた。
「大丈夫よ…これくら、い…」
強がりでもある。
だけど、これぐらいで負けていたら、という気持ちもあったのだ。
そんな美夜に龍馬は一瞬だけ心配そうな顔をしたが。
強がって精一杯で愛らしい美夜を抱きしめた。
「おかやんはこんだけ強くて優しいんじゃあ…おまんがこまらせな」
自分に言っているんではなくて、お腹の中の子に言っていると気づいた時、ふわりと笑みがこぼれた。
なんだか龍馬らしくて。
不安が少し掻き消された様な気がした。
今から色んな気持ちがまざるお腹の子。
この『いのち』はどうやって未来に影響してくるのか。
幸せや苦しみ、笑ったり泣いたり。
今と変わらなくても、もう一つの『いのち』でこれから先少し変わるのか。
この小さい小さい『いのち』を、何としてでも護りたいと思った。
やっと。
尊い、の意味が分かったかもしれない。
少し、だけ。