運命の果ての恋〜歴史は変わらない〜
「私も聞きたい事があるんだけどッ!!」
妙な空気に耐え切れなくなって、思わず話題をだす。
「あ??」
急に話し掛けられ、思わずそっけない態度をしてしまう。
それに腹をたてるが、美夜も我慢をする。
「あの…沖田って人…」
そう、言った時。
微かに土方の藍色の瞳が揺らいだ。
それを見逃さなかった。
妙な胸騒ぎがしたが、ここまで話したならばもう戻れない。
「一体、何者なの…??病気なの??」
確かに、先日美夜は病院で沖田を見かけたのだ。
何かあったか聞いても適当にはぐらかされ。
「アイツは…昔ッからよくわかんねェ奴だ。あの事だって話さなかったし…」
土方の視線は、無造作に行き交う人々の方を向いているが。
なんとなく、違う所を見ている様な気がした。
もっと、遠く。未来の様な。
それに、意味ありげな言葉を呟いて喋るのをやめた。
いっそう、沖田という人物が謎に包まれてしまう。
「あの事って何!?」
「うるせぇ…じゃあな」
美夜が声をはって問い詰めても。
視線はもう合わす事はなく。
背中を向けて人込みにまぎれてしまった。
あわてて追い掛けるも。
先ほどの暗い土方には似合わないような。
人々の陽気な声や笑顔が溢れるばかりだった。