運命の果ての恋〜歴史は変わらない〜




人々を見ていたのは、重太郎だけではない。

もちろん、行き交う人も人々を見ているだろうが。


皆、きっと人々の見方、感じ方はこれまたそれぞれ違う。

重太郎のように、愉快に思えば。


美夜のように、うざったらしく感じる者もいるのもこれまた必然。

「熱いし…熱気がヤバイのよ…もう!!」


どうせ先についているのは目に見えている。

早く行かなければ。

また機嫌をそこねてしまうのもこれまた予想できるのだ。


だけども人々が行く先を邪魔するかの如く感じてしまう美夜。

それに併せて人々の熱気からの苦しさや日に照らされ熱くほてる髪が、怒りの沸点へと導いてしまう。


「ぅう〜ぅへぇ〜はほぉ〜〜」

つわりのせいか少し吐き気も増してきて、体は芯からほてっているように感じた。


だんだんと脱力感が増してきて。

言葉にならない言葉を言いながら歩く始末。


あぁ、土方とぶつからなければよかった。

なんて事を考えて後悔して。


それはよくないと気合いで弱気を吹き飛ばすが。

また、熱さや吐き気が襲ってきてまた同じ考えに。


それを何度も何度も繰り返しながら歩いていると。

重太郎が、見えた。


決して近いような距離ではないが。

目標が少し見えて随分気持ちは軽く感じ、足もついつい早くなる。


だんだんと近くなる重太郎に比例して、テンションも徐々に回復してくる。

もう少し、もう少し、と頭に念をかけながら足を動かす。


もうちょっと、もうちょっと。




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