運命の果ての恋〜歴史は変わらない〜
「おなごがそげに怒鳴るもんじゃないがぞね」


と言って今にも重太郎に突っ掛かりそうなくらい睨む美夜を龍馬がなだめる。


また、おなごだから、という言葉に美夜は苛立ちを覚える。


美夜は小さいころから、両親の喧嘩を陰で見ていた。


いつも内容は、同じ。


美夜の事だった。


美夜は兄弟がおらず、跡取りの男の子が産まれなかった。


『地震が相次いで…俺の会社もいつ倒産するか…お前が、男の子さえ産んでくれれば…』


『私だって好きで女の子なんか産んでないわ!!』


『だったら、男の子を産んでくれよ!!』


『別に美夜だっていいじゃない!!』


『美夜は駄目だ』


『どうして!?』


『女の子だからに決まってるだろう!!』


『私達の生活だって危ないのに、そんな事言ってられないわ!!それじゃああの子はただの金食い虫よ!!』


『美夜は、駄目なんだ!!!』


毎日、同じ事で喧嘩する美夜の両親。


美夜は、いらないといわんばかりの喧嘩。


地震が起こるまでは、親子三人で笑っていた。


治安が悪くなるまでは、親子三人で買い物に行けた。


物価が高くなるまでは、親子三人で食事をできた。


美夜にとっては、全てがどうでもよくなった。


世界がどうなろうと。
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